3部前期リーグ戦総括
2018/08/12
今年の3部リーグは一言で表すと、熾烈な混戦。序盤は比較的上位にいながらも前期終了時には中位以下に落としてしまったり、また逆に順位を急上昇させるケースも数多く見られた。それゆえに、現時点で首位から5位までの勝点差が僅か3の混戦状態となっている。そんな3部リーグの前期9節を詳しく振り返る。
<目次>
①3部リーグ前期の激しい順位変動を見よ!
②3部リーグで日大ダービーが繰り広げられている?!
③得点ランク上位5名の選手達にインタビュー!
④3部リーグの後期を展望
①3部リーグ前期の激しい順位変動
順位変動表を見ていくと、多くのチームが上位と下位を行き来していることが伺える。
中でも桜美林大学の這い上がりが著しく、一時は9位にいながらも着々と順位を上げ、第6,7節には首位に立つ躍進ぶりをみせた。後期も調子を維持できるか、大きな見どころとなっている。
次に注目したいのが、2位フィニッシュの日本大学文理学部である。開幕2連勝と最高のスタートを切りながら、その後は泥沼の3連敗を喫していた。しかし、6節目からは4連勝と立て直したのだ。序盤は現代サッカーの流行を意識し戦術的に戦っていた彼らだったが、そのポジショナルプレーが第3節以降うまくいかなかったことを受け、6節目からは組織的な守備を意識したチームへと変化させた。これがうまく機能しV字回復を遂げることができたと見られる。
一方、順位表の目の付け所は得点数である。なんと上位5チームがそれぞれ20点以上を叩き出しており、この数字が今季の3部リーグの混戦を象徴していると言っても過言ではない。
各チームが得点力で争っている中、現在首位に立つ工学院大学の総得点は16点と他の上位陣より少ない。彼らは試合巧者の如く戦って勝ち点を積み重ね、9位から順位を上げてきたのである。
やはり今年の3部リーグは点の取り合いが最終順位に影響しそうだが、その中で堅実に勝ち抜いて昇格を手にするチームも見られる可能性は大いにあると言えるであろう。
②3部リーグで日大ダービーが繰り広げられている?!
東京都1部リーグに所属する日本大学保健体育審議会サッカー部の他にも、3部リーグには3チームの日大のサッカー部が存在しているのである。その3チームとは、日本大学商学部サッカー部、日本大学生物資源科学部サッカー部、日本大学文理学部サッカー部である。
したがって、今年の3部リーグではこの3チームによる「日大ダービー」が計6試合繰り広げられることとなっている。
そこで、このトピックでは日大ダービーを熱狂させる3チームの主将に、それぞれのチームメソッドと日大ダービーへの気概などを語ってもらった。
まずは、日大カラーと言われるピンクを基調としたユニフォームの日本大学商学部サッカー部の阿久津友汰主将のインタビューを伺ってみよう。
Q.日本大学商学部とはどのようなチームですか。
A.個性豊かな選手が多くいます。また、色々な戦い方が出来ることが私達の強みです。
Q.阿久津主将にとって、日大ダービーとは何ですか。
A.一言でいうと、絶対に負けられない戦い、です。
Q.日本大学商学部の注目選手を教えてください。
A.3トップの成田選手、坂口選手、萬木選手です。
Q.日大ダービーも含めたリーグ戦後期への意気込みをお願いします。
A.前期の日大ダービー連勝に続いて、後期も日大ダービー連勝できるようチーム一丸となって戦っていきます。そして、最終的には3部リーグ優勝を目指していきたいと思います。
前期のダービーを2つともモノにしている日本大学商学部。戦い方にバリエーションがある個性豊かな選手達のチームは、絶対に負けられない日大ダービーのシーズンダブル、そして3部リーグの頂点を狙う。
続いては、えんじ色のユニフォームが特徴的な日本大学生物資源科学部サッカー部の高木瑠偉主将に語ってもらった。
Q.日本大学生物資源科学部とはどのようなチームですか。
A.学生主体のチームであり、練習メニューやメンバーは自分たちで決めています。その為、結束力が高く、チームワークのあるチームです。
Q.高木主将にとって、日大ダービーとは何ですか。
A.日大ダービーとは、他の大学では味わえない、日大ならではの絶対に負けられない戦いです。リーグ戦の中でも特に気持ちが入るゲームだと思います。
Q.日本大学生物資源科学部の注目選手を教えてください。
A.注目選手は、10番の高柳選手と、前期3部リーグ得点王の56番中島選手です。
Q.日大ダービーを含めたリーグ戦後期への意気込みをお願いします。
A.前期は思うようにいかない部分も多く、悔しい結果に終わってしまいました。ですから、後期は一戦一戦を大切に、気持ちの入ったゲームをしたいと思います。また、前期のダービーは2戦共に負けているので、後期は2戦共に勝利します。そして、まだ優勝という目標は不可能ではないので、しっかりと準備をして、優勝目指して頑張ります。
前期のダービーを2試合どちらとも落としてしまったものの、彼らの反骨心がひしひしと伝わってくる論調だ。後期はこの気持ちとチームワークで、ダービー2試合での勝利をもぎ取れるか。日本大学生物資源科学部の躍進に期待だ。
最後に、情熱の赤のユニフォームを纏う、日本大学文理学部の羽生主将に語ってもらった。
Q.日本大学文理学部とはどのようなチームですか。
A.個性が強く、サッカーが大好きな選手が集まるチームです。毎日サッカーに対してそれぞれの色を出し、全力で取り組んでいます。
Q.羽生主将にとって、日大ダービーとは何ですか。
A.絶対に勝ちたい試合です。
Q.日本大学文理学部の注目選手を教えてください。
A.18番の高橋優選手です。日本大学商学部サッカー部との対戦では、兄弟対決に注目です。
Q.日大ダービーを含めたリーグ戦後期への意気込みをお願いします。
A.ダービーを含め、全勝します。そして優勝して、絶対に2部へ昇格します。
現在この3チームの中で一番上位に位置する日本大学文理学部。これからも自分達とサッカーに向き合い、後期のダービー2勝、そして3部優勝を果たしての2部昇格は出来るのか。
前期のダービーは日本大学商学部が2勝0敗、日本大学生物資源科学部が0勝2敗、日本大学文理学部が1勝1敗。日本大学商学部は後期のダービーも2勝し優勝なるか。日本大学生物資源科学部は後期リーグでのリベンジを果たすのか。日本大学文理学部は泥沼の3連敗の後に怒涛の4連勝での折り返し。その勢いを後期もキープできるか。この3チームの戦いに注目が集まる。
③得点ランク上位5名の選手達にインタビュー
ここからは、3部リーグ得点王争いに目を向けていきたいと思う。そこで、今回はランキング上位5名の選手達にインタビューをしてきた。
※質問内容
(1)所属チーム、背番号、名前を教えて下さい。
(2)リーグ戦前期を振り返り、どのような手応えや課題がありましたか。
(3)〇〇選手のゴールへの執念とは何でしょうか。
(4)得点王争いを含めた後期への抱負をお願いします。
1位 中島康介 8ゴール
(1)日本大学生物資源科学部、56番、中島康介です。
(2)手応えは、点を取られても取り返せることと、得点とアシストと多くの点に絡めたことです。課題は開始早々の失点が多いことです。
(3)チームの目標である優勝をして昇格をしたいことと、個人の目標である得点王になりたいという気持ちがゴールに繋がっているのだと思います。
(4)チームとしては、前期はあまり良い結果ではなかったので、後期は全勝を目指して頑張りたいと思います。個人としては、前期以上の点を取り、得点王を狙います。
2位 岸翼 7ゴール
(1)東京工業大学、10番、岸翼です。
(2)課題として、勝てる試合を自分が決められず、勝てない試合が多くありました。
(3)チームが勝利をするためのものです。
(4)後期は、毎試合点を取ってチームを勝利へと導きます。
3位 坂口寛和 6ゴール
(1)日本大学商学部、77番、坂口寛和です。
(2)リーグ戦の前半戦は怪我などによるアピール不足からスタメンで出る試合が少なかった中、短い時間でゴールという結果を残せたことが手応えに感じます。
(3)FWとしてどんな状況でも点を取り、チームを救いたいという気持ちを持って試合に臨んでいます。
(4)チームのリーグ優勝を成し遂げる為に、毎試合ゴールを重ねて、チームに貢献した上で得点王になれたら嬉しいです。
4位タイ 高橋優 5ゴール
(1)日本大学文理学部、18番、高橋優です。
(2)3連敗をした時もありましたが、その後に4連勝をして立て直すことが出来たことです。
(3)チームの勝利の為のものだと思います。
(4)得点はもちろんですが、2部昇格を第一にして頑張ります。
4位タイ 河野拓人 5ゴール
(1)桜美林大学、3番、河野拓人です。
(2)手応えというよりは、3位で折り返せたことが良かったと思います。しかし、まだまだ足りないことばかりです。シュートの精度、最後まで走り切れる体力不足が課題だと思います。
(3)ゴールが見えたらチャレンジしてシュートを打つことです。また、私はほぼフリーキックで決めているので、壁を越えて枠に入れることだけを考えています。
(4)得点王とかを気にせず、チームの為に貢献していき、優勝を目指して頑張りたいと思います。
先ほども述べたように、3部リーグが混戦となっている大きな要因の一つとして、ほとんどのチームが20点以上の得点を取っていることが挙げられる。この5人の活躍はその数字に大きく貢献していると言えるであろう。彼らの多くは、ゴールへの執念はチームに勝利をもたらすためにあると諭す。得点王、そしてその先にある優勝と昇格。この思いを胸にして後期リーグで繰り広げられる得点王争いは、熾烈を極めることになるだろう。
④3部リーグの後期を展望
ここまでのデータを見ればわかる通り、今年の3部リーグは大混戦となっている。
その熱い戦いをさらに盛り上げるであろう注目の対戦カードは、後期初戦となる首位の工学院大学と2位の日本大学文理学部による、いきなりの首位攻防戦。首位工学院大学の勝点19に対して、2位日本大学文理学部の勝点は18と差はわずかに1だ。前期に各チームが散らした火花が、この節で一気に炎上することは間違いない。前者が勝てば、独走態勢に向けての準備が進む。逆に後者が勝てば順位が入れ替わり、さらなる混戦の激化は必至だ。
そしてその2チームを追いかけて逆転優勝、昇格を目論むチームも落とせない試合が続く。中でも桜美林大学vs日本大学商学部の一戦は今後の優勝戦線を大きく左右するゲームとなるだろう。昨年度2部リーグから降格した東京工業大学、日本大学生物資源科学部、日本大学商学部の3チームは現在、いずれも1年での2部リーグ復帰が難しい順位にいる。昇格権をかけ、一つでも上の順位でフィニッシュを迎えたい。
下位に甘んじてしまっているチームにも逆転優勝、昇格の可能性はある。武蔵野大学や創価大学は何としてでも上位陣から黒星を勝ち取り、一気に順位をあげる契機としたいところ。そして今年度から3部リーグに昇格した東京外国語大学と電気通信大学は苦戦を強いられているが、意地を見せることができるだろうか。残留、あわよくば上位進出を狙う彼らの後期からの巻き返しに期待だ。
文:河村