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【特集】3部前期リーグ 総括

2017/06/29


 今季の3部リーグは、昨年度2部リーグ所属の東京理科・山梨、そして4部からの昇格組、武蔵野・国際基督教・都留文科を含む10の大学により構成されている。昨年度創価が得失点の差で昇格を逃したよう、毎年2部昇格をかけた争いが熾烈を極めるディビジョンである。ここでは、その3部前期リーグをデータや選手のコメントとともに振り返る。


〈目次〉

① 東京理科が首位をキープ!山梨・日大文理・武蔵野が徹底追走!

② 上位チームの共通項?

③ 学生主体のチーム運営に迫る! 都留文科大学 久保田昌希主将インタビュー
 

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①東京理科が首位をキープ!山梨・日大文理・武蔵野が徹底追走!

 さて、今季も前期リーグを終了して、混戦の模様である。東京理科が第1節から首位の座を明け渡すことは1度も無かったとはいえ、2位山梨、3位日本大学文理学部、4位武蔵野までが勝ち点4差の中に収まっており、後期リーグでの試合結果、特に直接対決の結果が順位を揺るがし続けることは間違いなさそうだ。2部リーグへの自動昇格権はつかめるのは1,2位のたった2チームのみである。

 今シーズンの昇格争いを盛り上げるであろう上位4チームの前期リーグの直接対決を振り返ってみよう。

・5/7   第2節 東京理科3−0山梨

東京理科が前半24分までに3ゴールを奪い、山梨を寄せ付けず。山梨のシュートはたった2本。

・5/7   第2節 武蔵野2−2日大文理

先制を許した日大文理が一度は逆転するも、後半40分に同点ゴールを許し引き分け。

・5/28 第5節 東京理科0−0日大文理

1位と2位の直接対決。両者譲らずスコアレスドロー。シュート数では日大文理が上回った。

・5/28 第5節 山梨1−1武蔵野

武蔵野が試合を優位に進めるも、結果は1−1。山梨は少ないチャンスをものにした。

・6/18 第8節 東京理科0−2武蔵野

武蔵野が首位東京理科に完封勝利し4位浮上。東京理科は初黒星を喫する。

・6/18 第8節 日大文理1−2山梨

得点ランキング3位タイの山梨大学FW13望月啓介(甲府東高校)が2ゴールの活躍。山梨と日大文理の順位は入れ替わり、山梨が2位浮上。

 直接対決6試合のうち3試合が引き分け、そしてその他の試合も順位との連関を決して想定することはできない結果に終わっている。現在3位につける日本大学文理学部の市川大二郎主将(城西大学付属城西高校)は、

「前期を振り返り、もったいない試合はあったが、なんとか勝点を積み重ねられるのが今年のチームの強さだと感じた。1位から4位まで勝点4差の中にあるという混戦の中で、どのチームよりも濃い夏を過ごし、後期では混戦を抜け出し「3部優勝2部昇格」を果たします。応援の程よろしくお願い致します。」

と語った。夏休みを経て、どのチームも一皮むけてリーグ戦に帰ってくることだろう。
 

 5位から7位には、創価、工学院、桜美林が続く。創価は昨年、得失点の差に泣き2部昇格を逃したチーム。是が非でも3年ぶりに2部の舞台に返り咲きたい。工学院は9試合中5試合を引き分けた。首位東京理科から勝ち点をもぎ取ったり、武蔵野と4−4のデッドヒートを繰り広げる好試合もあった一方、下位の大学に勝ちきれない試合もあった。7位桜美林は国際基督教に5−0、山梨に6−1、都留文科に5−0で勝利。大量得点での勝利が印象的だった。より安定して勝ち点を積み重ねることができるようになれば、昇格圏内も見えてくるはずだ。


②上位チームの共通項?

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 得点ランキングを見てみよう。1位に東京理科の松山達央(藤枝東高校)、日大文理の齊藤行男(日本大学櫻丘高校)が6ゴールで並び、その次に山梨の望月啓介(甲府東高校)、武蔵野の小山雄也(リオFCユース)、桜美林の杉本叡人(鵠沼高校)が5ゴールで続く。リーグ戦上位チームの選手たちが得点ランキングの上位にも名を連ねていることが分かる。

 「強いチームにはストライカーがいる」、「ストライカーがいるチームは強い」、「点の取れるFWがいれば……」、サッカーをやっていれば100回は、いや少なくとも3回ほどは耳にしたことのある台詞に違いない。3部前期リーグの様子を見ると確かに各上位チームのストライカーがチームを牽引する活躍を見せていることを確認できる。もしかすると今季の3部リーグの昇格争いは、得点王争いとシンクロする様相を呈するかもしれない。

 現在得点ランキングトップを走る東京理科の松山達央選手(藤枝東高校)と日大文理の斎藤行男選手(日本大学櫻丘高校)のコメントをご紹介しよう。

東京理科大学 FW 39 松山達央

「チームは開幕4連勝、個人としても3戦連発と上々の滑り出しでしたが、その後はなかなか勝ち切れず自身も点を取れない苦しい試合が続きました。前期リーグを首位で折り返すことができ、自身も得点ランキングトップタイと結果を残せたことに関して嬉しさはありますが、もっとやれたなという悔しさの残る前期リーグでした。」

日本大学文理学部 FW 26 斎藤行男

「前期リーグ戦を振り返り、チームとしては勝てる試合に勝ちきることができず、勝ち点を落とす試合が多くなりました。個人としてはありがたいことに1年生から試合に出させて頂き、結果を残すことが出来ました。後期はチームとしては3部優勝、2部昇格。個人としては得点王、最優秀選手賞を取ります。応援の程よろしくお願いします。」

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③学生主体のチーム運営に迫る! ー都留文科大学 久保田昌希主将インタビュー

 東京都大学サッカー連盟(都学連)には現在42のチームが所属しているが、その規模やチーム運営の方式は実に多様である。100名以上の部員が在籍し専門の指導者がいる大学がある一方、決して多くはない人数でリーグ戦に参加し、学生だけで日々のチーム運営を行っている大学もある。大学の施設・練習場に恵まれている大学もあれば、外部のグラウンドを自分たちで予約・利用しながら活動している大学も存在する。当然競技レベルにもばらつきがあり、アミノバイタルカップや東京都サッカートーナメントの都学連予選で異なるディビジョンに所属する大学同士が試合をすると、大きな点差がつくことも珍しくない。しかし、こうした多様性こそが都学連の実態であり、肯定的に認識すべき特色でもあるだろう。全てのチームがそれぞれ異なる境遇に置かれながら、サッカーとチーム運営の両面でレベルアップに励んでいるのである。そして毎週のリーグ戦や幹事会では異なる大学同士が顔を合わせ、ピッチの中でしのぎを削り、ピッチの外では手を取り合いながら大会・試合運営を行っている。

 ここでは、学生主体のチーム運営に取り組む大学にスポットを当てるべく、今年4部から3部リーグに戦いの舞台を移した都留文科大学の久保田昌希主将にお話を伺った。

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都留文科大学イレブン。右下14番が久保田昌希主将。

Q. 前期リーグを振り返っていかがですか。

久保田主将: 勝ちきれる試合を引き分けてしまったり、引き分けで終わらなければならない試合を落としてしまったりと、チームとしてもっと結果にこだわれたと思います。昨年に比べて、相手のプレスやスピードが上がり、序盤はつまずきましたが徐々にチームが成長していっていると思います。

Q. 試合で意識していることはありますか。

久保田主将: 選手兼監督ということで、選手としてプレーしていると視野が狭くなりなかなか全体に良いコーチングをすることが難しくなります。私を中心に、選手一人一人が感じたことや考えていることを発言し、チームが少しでもより良く進んでいけることを心がけています。

Q. 学生主体のチーム運営についてお聞かせ下さい。

久保田主将: 監督がいないことで、良くも悪くも選手は自由になります。しかし、この自由の中にも選手が言動に責任をもち、チームを運営しています。大学を卒業したらほとんどの部員が社会に出ると思います。社会に出た時に活躍できるよう、自分が組織のなかでどうしたら貢献出来るかを一人一人が考えて行動しています。学生だけで運営している分、試合に勝った時や何かを達成した時は何よりも楽しい瞬間です。

Q. 後期リーグに向けての意気込みを教えてください。

久保田主将: 1つでも多くの勝ち点を取って、順位を上げられるように一戦一戦を死に物狂いで戦いたいと思います。必ず観ていて楽しいと思えるようなサッカーをするので、応援よろしくお願いします!

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 昨季まで所属していた4部リーグとのレベルの違いを感じながらもチームの成長を実感していることや、後期に向けた熱い意気込みを語ってくれた。そして何より、「自由」の中で一人一人が組織のなかでの貢献を模索する、という都留文科大学体育会蹴球部の学生主体のチーム運営の姿が明らかになった。さらに、部の活動を卒業後の社会での活躍と結びつけて認識することについての言及は、大学サッカー、ひいては大学スポーツに対して重要な示唆を与えてくれる。

 久保田主将は、前期リーグでは怪我のためベンチから試合の指揮を執り続ける時間が大半を占めたものの、8節では実戦復帰を果たし、後期リーグでの活躍に大きな期待がかかる。都留文科大学の後期リーグの戦いぶりに注目したい。



 

文: 張

 
 
 
 

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