【特集】2部前期リーグ 総括
2017/07/05
東京都大学サッカーリーグ2部も第9節までが終了し、前期リーグが幕を閉じた。今季の2部リーグは昨年度1部の亜細亜大学、東京大学、3部から昇格組の首都大、東工大、日大商学を含む10チームにより構成されている。前期の結果は上位下位とはっきり分かれた5強5弱となり、上位チームは1部昇格のために一戦たりとも落とせない。下位チームは昇格争いに食い込むため、2部残留のためにも上位陣への下克上を狙う。後期リーグも決して目が離せない展開となることは間違いないだろう。
そんな2部リーグを5つのトピックで振り返る。
〈目次〉
① 前期リーグ首位の玉川大学!躍進の鍵を握る攻撃のキーマンとは?!
② 悲願の一部返り咲きへ!学習院大学主将インタビュー!
③ 学生主体の運営実態は?上智大学GM課に聞く!
④ 熾烈を極める得点王争い!チームを勝利へ導くのはこの男たちだ!
⑤ 二部リーグPick Up Player 後期は彼らに注目すべし!
① 前期リーグ首位の玉川大学!躍進の鍵を握る攻撃のキーマンとは?!
現在、2部リーグ首位を走る玉川大学。昨年度は5位に終わり、昇格を目指した玉川にとって悔しい結果となったが、今季は第1節目から首位に立ち、6勝1敗2分と調子の良さを見せている。この躍進を握るのはやはりその攻撃力だろう。得点ランキング1位の西野尾基陽 選手(札幌大谷高校)を筆頭に得点ランキング上位に5選手がランクインしている。今回はこの攻撃力を支えるアシストランキング1位の長谷川虹輝 選手(昌平高校)にお話を伺った。
Q1 前期リーグを振り返ってどうでしたか?
・チームミーティングを増やしたことによって細かいチームの状況を把握することができました。それによりチームの雰囲気が良くなり結果につながったと思います。個人としてはアシストやゴールを決められたことは自信なりました。しかし、90分通してチームに貢献することができなかったため悔いが残りました。
Q2 前期リーグでもっとも印象に残った試合はどの試合ですか?また、それはなぜですか?
・成城戦
自分自身のプレーもよくなかったし、チームとしても相手から学ぶことも多くあり、善くも悪くも得られたものが多かった試合でした。また、この試合を境に教育実習で選手が抜けていくことになり、チームに危機感が生まれ引き締まったことが、前期1位で折り返せた要因になったと思うため、印象に残りました。
Q3 得意なプレーや試合中意識していることはありますか?
得意なプレーは自分自身でもよくわかっていませんが、ボールを失わないことは試合中意識しています。自分はFWなのでゴールも意識していますが、ストライカーというタイプではないので、自分のところでボールを失わず溜めを作ったり、ワンタッチではたいたりすることで、攻撃に人数をかけることができ、得点に結びつくと思うので常に意識しています。
Q4 後期リーグの目標はなんですか?(個人として、チームとして)
チームとしては、前期以上に勝ち点を積み上げて優勝して1部に昇格したいです。また、個人としては、アシストやゴールを前期以上に決めていくことはもちろんですが、もっとチームのために身を削って戦っていきたいです。そのためにも、この夏良い準備をして、後期全勝するつもりで戦っていきたいと思います。
談:玉川大学・長谷川虹輝 選手(昌平高校)
② 悲願の一部返り咲きへ!学習院大学主将インタビュー!
2015年1部リーグ降格を喫した学習院大学。昨季、最速での一部返り咲きを目指すものの要所の試合で勝ち点を獲得できず昇格を逃した。しかし今年、2017年の学習院大学は一味違う。アミノバイタルカップ東京都予選で東京経済大学、山梨学院大学と1部の大学を次々に破り、勝ち取った関東プレーオフでは関東リーグに所属する関東学院大学に2-3と善戦。今期のリーグ戦でも1位の玉川大学に勝ち点3差と首位を狙える位置につけている。そんな学習院大学の主将を務める三牧滉司選手にお話を伺った。
Q1 前期リーグを振り返って感じることは何ですか?
・ 全く満足しておらず、あと一歩のところで結果が出ないという状況が続きました。しかし、主力の怪我が相次ぐ中で、今年の春から取り組んだチームの底上げが功を奏し、前期シーズンを通して安定した戦力で戦えました。また、なかなか思うような結果が出ない中でも前向きに努力し続ける雰囲気は昨年に比べて格段と良くなりました。
Q2 アミノバイタルカップで躍進した要因は何だと思いますか?
・ 格上相手を食ってやろうというチーム全員の強い気持ちと共通の戦術理解だと感じます。我々が得たものは都1部の2チームを倒したことで得た自分達に対する自信と関東学院大学に後一歩で勝ちきれなかった悔しさだと思います。
Q3 現在のチームの強みや課題は何ですか?
・ 強みは選手層の厚さとそれを実現する部員全員の練習に対する真摯な姿勢です。課題は勝負強さをより一層高めることです。
Q4 後期リーグの目標をお願いします。
・ チームとしての目標は我々のミッションである「都一部復帰」を必ず達成することです。個人としてはピッチの上で誰よりも戦い続け、目標を達成し、後輩たちに都一部という舞台を残すことです。
談:学習院大学主将・三牧滉司 選手(昭和学院秀英高校)
③ 熾烈を極める得点王争い!チームを勝利へ導くのはこの男たちだ!
試合を最も盛り上げるもの。それはやはり得点であろう。何点取られたとしても取り返す。勝っていようが点を取りに行く。そんな姿勢が試合をより熱くさせる。ここではチームを勝利に導く4人の得点王を紹介する。
★玉川大学・西野尾基陽(札幌大谷高校)
・ゲームを作り、点も奪うことのできる玉川の心臓。リーグ屈指の技術で前線を牽引する。
★東京大学・多田憲介(Feyenoord Rotterdam)
・東大ア式随一のテクニシャンでありながら圧倒的なシュート力を持つ。
★上智大学・小熊悠介(國學院久我山高校)
・高さ、強さ、技術、得点感覚、全てを合わせ持つ万能型FW。
★東京工業大学・岸翼(県立浦和高校)
・裏への鋭い抜け出しからゴールを奪う。観衆を沸かせるスーパーゴールも魅力。
④ 学生主体の運営実態は?上智大学GM課に聞く!
大学サッカーには様々なチームが存在する。監督、コーチ、トレーナーが複数名在籍し、設備等の練習環境が整っている大学がある一方で、練習場所を確保することさえも難しい大学や学生のみで運営を行うチームも数多くあり、その形態は多様である。そんな中で学生運営にもかかわらず、2部リーグで2位につけており、今季よりチーム運営をより組織化し、体制を一新した上智大学をpick up。主に練習メニューの作成や戦術などを考えるGM課にお話を伺った。
Q1 GM課の主な仕事や役割とは?
・GMとはground managerの略です。その名の通りグラウンド内の事は全てGM課の管轄ですので、仕事内容は、日々の練習のデータ管理、自チームや対戦相手の試合分析、それらの情報を基にした練習メニュー作り、選手評価、技術的指導などと多岐にわたります。大多数がプレイングマネージャーとして活動するGM課はチーム内で「選手以上の存在」の役割を担い、各カテゴリーの様々な場面で中心となって活動しています。
Q2 今期から発足したGM課、昨季と比べどのような結果をもたらしたと考えますか?
・前期日程を消化した段階での見解ですが、GM課の創設によって、昨季に比べ活動が直接勝ち点に結びついてると強く感じます。一口に活動と言っても先述した通り様々ですが、満足な練習環境を持たない私たちが、勝つために必要な取り組みを最大効率で必要な量行うためにミーティングや試行錯誤を重ね、頭と身体と時間を使って勝ち点に結びつけた事が、現段階でのGM課の功績であると考えます。簡単に言えば、「シンプルに強かったから勝った」ではなくて、「あの取り組みがこの場面で活きた」と感じることが多いのです。GM課の成熟が必ず今季の1部昇格につながるという確信が、肉体的にも精神的にも負担の少なくないGM課で頑張れる理由です。
Q3 後期リーグに向けてどのような展望がありますか?
・リーグ優勝を達成するために自分たちの長所、短所を補完すること。守備面とビルドアップを中心にリーグ開幕前から取り組んでいます。少しずつ良くなっているので、徐々に精度を高め失点を減らし、ボールを支配することに努めます。また、課題としてシュートの本数の少なさや、ゴール前での決定力が挙げられるので、よりボールを支配し、試合を支配して、リーグ優勝することを目標に掲げています。また、Iリーグへの参入やGM課の創設によってチーム内の競争が活発化しているので、メンバーの入れ替えが頻繁になるようチーム内の実力差を埋めたいと思います。
Q4 GM課の描く未来像はどのようなものですか?
・GM課の未来像は、課の理念である「選手以上の存在」がチーム内外へ浸透し、認められることにあります。選手としてだけではなくコーチや監督としての機能を果たすこと、時にはチームを牽引する役割を担いチーム全体の能力の向上に励むことが、先述したGM課理念の追求になると信じ、一貫した志の下全員で取り組んでいきます。
チームの未来像は、上智大学サッカー部の掲げる「be for soccer」を追求し、サッカーの価値を高めること、サッカーというスポーツの地位向上を僕らが先頭に立って実現していくことにあります。そのなかで一部昇格といった具体的な目標を達成できるように一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。
(写真・上智大学GM課の皆さん)
⑤ 二部リーグPick Up Player 後期は彼らに注目すべし!
★成城大学・玉上雅大(武南高校)
埼玉県からやってきたルーキーは1年生にもかかわらず、2部の舞台でその存在感を輝かせ始めている。彼の左足が成城を一部の舞台へと導くか?!
★首都大学東京・仲間琳星(國學院久我山高校)
首都大最後の砦である彼は都リーグ屈指の技術を持つ万能型GK。安定したセービングに加え、正確なロングフィードを持ち、後方からゲームを作ることもできる。
★日本大学商学部・相馬翔(日本大学付属明誠高校)
チームを支える闘将は対人の強さと果敢なオーバーラップで相手をねじ伏せる。後期巻き返しを狙う日商にとって彼の活躍が鍵となることは間違いない。
★日本大学生物資源学部・水野一平(愛知FC)
第4節からスタメンを勝ち取った彼は1年生とは思えない統率力と落ち着いたプレーで日大生資の最終ラインを支え、チームに必要不可欠な存在となった。
★亜細亜大学・野原有希(鹿島アントラーズY)
最終ラインを統率し、相手の攻撃を跳ね返すその姿はまさに「亜細亜の壁」。守備力もさることながらリーグ戦では3戦連続ゴールを記録するなど攻撃力も併せ持つ破壊力抜群のDF。
文:橋本